海の底に仰向けになって水中から夜空を見上げれば、そこには大きな満月がゆらゆら揺れて映っていました。
昔、ハワイのカハラ地区にありますホテルの庭に夜、こっそりと侵入したことがあります。そこには池があってシーライフパークから連れてこられたイルカがこのホテルの池に住んでいると言う情報を聞いて、私はこの夜、イルカがどうしているのか見てみたかったのです。
イルカはどんなだったかと言いますと、その夜も満月の夜だったのですが、青い月の光にさらされた池の水はきらきらと輝いています。その青い輝きの中にうっすらとボーッと白っぽいものがゆらゆらしています。
ボーッと白っぽいものは何だったのか、と言いますと、実はそれはイルカのお腹。イルカはなんと仰向けになっていたのです。
イルカもお月見か?
まるであの夜のナイトダイビングをして海の底の砂地に仰向けになって満月鑑賞をしていた私を思い出しました。満月の夜がやってくるたびに、このような遠い記憶を思い起こすこと、そうして遠くに住む人と時空を越えて共有できる思いを持てること、不思議と月は忘れつつある事を思い起こさせてくれるのです。 |