フリーダム ハワイ ドルフィンスイム ダイアリー


星のきれいな夜空に誘われて、ハナとSと3人で夜の散歩に出かけたその夜、私たちはフリーダムを体験しました。

散歩に出て交差点に差し掛かる手前でハナの首輪を調節しようと立ち止まったS。私はきれいな星空に見とれていました。

ふと前方の交差点の方に目を向けると、なんだか大きな黒い生き物がピョンピョンと交差点に向かって跳ねて行く光景を見るのと同時に、Sの「ハナ〜」という叫び声が耳に入ってきました。

最初の何秒間か、私は目の前に繰り広げられた光景が夢の中の出来事の用で実際に起こっているとは認める事が出来ませんでした。

大きなトラックが交差点に向かって走ってきます。
その前を黒い大きな生き物がトラックぎりぎり前を通過します。

それは、首輪から抜け出したハナでした。
ハナはアフガンハウンドという種類の犬です。

ハナを飼った時に、以前アフガンを所有したことのある友人は口を揃えて言うのでした。

「アフガンは放すとそのまま前に突進して行って戻ってこないから気を付けてね」

この言葉が呆然と立ちすくむ私の頭の中を反芻します。

ハナを追いかけるS。
友達の言葉通り、ハナはピョンピョン跳ねて私たちから遠ざかって行きます。
それでも私は何をする事もできずに立たずんでいました。
Sはそんな私を見て叫びました。

「マキ、ハナを呼ばないと戻ってこないよ!」

その声に我に返った私は、ハナー、ハナー! と叫びました。

その声を聞いたハナは私の方に向かって走って来て、私はハナを抱きしめて捕まえる事ができました。

生きた心地のしなかったこの夜、ハナはともかく私たち人間二人は、ざわつく心を落ち着かせるように星がよく見える所まで夜の散歩を続けて、家に戻ってきました。

一夜明けた今でもハナ脱走事件の時の事を思うと心臓が痛くなります。でも、ピョンピョン跳ねて行ったハナはなんだか自由に思いっきり走れる事を満喫して笑っているように見えました。

私はそんな自由を満喫するハナをものすごく美しい生き物だわ、と思いながらあの時呆然としながらハナを見ていた、と感じていた事を思い出しました。でも、必死で追いかけてくれたSにはそんな事は言えません。

ひとつハナに必要なモノがわかりました。
自由に思いっきり走れる環境ですね。オアフには何か所か犬が自由に走り回れる公園があります。でも、ここも色々な問題があるみたい。自由に放された犬を監視しない飼い主。大きな犬が小さな犬をかみ殺した事件も起きた犬の公園もあります。

近所の犬友と朝早く犬がまだ集ってきていない時間帯に連れて行こう、と計画中です。

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